シンリード@理系読書

理系大学院生による書評と読書感想文

「思考の整理学」東大・京大でも時代を超えて読まれる一冊!【要点まとめ・レビュー】

思考の整理学 外山滋比古

思考の整理学 (ちくま文庫)

満足度 ★★★☆☆

東大や京大の人がとりあえず読む本ということで気になります。

【感想】

本書では、受動的に知識を得る人と自分で物事を発明・発見していく人をそれぞれグライダー人間と飛行機人間と称している。グライダー兼飛行機のような人間になれるような考え方が記述されている。

 「見つめるナベは煮えない」。本書での内容の多くを表している言葉であると思う。素材に酵素を足して時間を置くことで発酵するのだ。素材として「ひとつだけでは多すぎる。ひとつではすべてを奪ってしまう」という表現は面白く感じた。また、これらの素材を反応させ新しいものを生み出すには触媒が必要であり、主観を抑制し中立的に機能させることが大事。発想の母体は触媒としての個性である。

またビジネス書でよく目にする、書き出す作業や抽象化について、より分かりやすい表現で書いてある印象。書く作業は立体的な言葉を線上の言葉にのせること抽象のハシゴを登ってメタ化・哲学化していく、など。他にも、視野の中心でなく周辺部が見えてしまうセレンディピティや、脳を倉庫の状態から工場に変えるためには倉庫の中を捨てることも大事である事など参考にしたい内容は多かった。

本書では知るより考えることについて述べられてきた。自分はどういう考え方の型をもっているかを知るには、他の人の型に触れることが有効とのことなので大事にしていきたい。It seems to me をI thinkに近づけていこう。