シンリード@理系読書

理系大学院生による書評と読書感想文

「財務3表一体理解法」素人でも会計くらい読みたい【要点まとめ・レビュー】

 財務3表一体理解法

【増補改訂】 財務3表一体理解法 (朝日新書)
 
満足度 ★★★☆☆

"ビジネススキル大全"という本で、ビジネスの必須スキルは「英語」「IT」「会計」と記されていた。その本の中で薦められていた「会計」を学ぶための本。

【本書概要&感想】

本書では、PL(損益計算書)、BS(賃貸対照表)、CS(キャッシュフロー計算書)の財務表3表について、相互関係を意識して書かれている。財務表を作る目的は、会社の実態を数字で把握する事や詳しく会社の外に説明する事である。

全体的に初心者にも伝わるように書かれているが、後半になるに連れて発展系になっていく。自分は現時点でそこまで発展的な事が必要に感じなかったので、前半部分だけさらっと読んだ。ただ、決算を読む力は使えそうなので、また読み直すときがあるかも。

 

 

「夢をかなえるゾウ」最強に読みやすい必読のビジネス書【要点まとめ・レビュー】

夢をかなえるゾウ 水野敬也 著

夢をかなえるゾウ文庫版
満足度 ★★★★☆

相当売れているので気になって読みました。普通の小説だと思っていたが、思ったよりも自己啓発的な思考やメソッドが記載されていた。

【本書概要&感想】

本書では、夢を実現するための課題が全部で30個ほど書かれている。単純にストーリーとしても面白いので、お手軽に読めると思います。

本書に出てくる「募金をする」や「ただでもらう」など様々課題の中で共通して大事なことは、人を喜ばせたい気持ちを素直に大きくしていくことだと感じる。"人の欲を満たすこと = 自分の欲を満たす"というレベルの人が幸せに思う。ただ、欲がある=欠けているということでもあり、自分が満たされてないと人は喜ばせられない。そのために、まずは自分が楽しい・嬉しいという気持ちでいるということや感謝する事が大事だという。そしたら自分の夢はみんなが応援してくれるような夢となっているはず。そして夢を叶えたいなら、意識だけでは何も変わらないので具体的な何かを変える必要がある。そのためには、続けるための服装や空間などの環境を作ること、何でもいいから応募してみるなどが重要に感じる。

「オックスフォード&ケンブリッジ大学 世界一「考えさせられる」入試問題」超一流大学に求められること【要点まとめ・レビュー】

オックスフォード&ケンブリッジ大学 世界一「考えさせられる」入試問題

オックスフォード&ケンブリッジ大学 世界一「考えさせられる」入試問題:「あなたは自分を利口だと思いますか?」 (河出文庫)
 
満足度 ★☆☆☆☆
 
最強の大学の一風変わった入試問題は気になりますね。

 【感想】

本書で出てくる問題は、ほとんどが明確に答えのない、哲学的な事や心理学的な問題である。物事を深く探求したり、色んな切り口に触れたりと、考える力をつける思考実験の本。一見設問は面白そうなのだが、筆者の考える長々しい回答を見ると、思っていたのと違ったり興味が薄れてしまったりと読むのが面倒だった。印象に残ったのは、厚さ0.1ミリの紙を43回折りたたむと月に届くということくらい。思考実験が好きな人には良いかも。

 

 

「父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。」経済の基本が分かる?【要点まとめ・レビュー】

父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。

父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。
満足度 ★★★☆☆

表紙がもう面白そう。難しそうな経済だが、とんでもなく分かりやすいということなので読んでみた。

【本書概要&感想】

基本的には、日常や歴史的な例を用いたり、SF映画や童話などを例えに用いたりしていて、難しい用語もあまり出てこない。だが個人的に"とんでもなくわかりやすい"とは思わなかった。経済について、なんとなくのイメージは持てるみたいな感じ。

本書では「かつてイギリスがオーストラリアを侵略したが、なぜ逆じゃなかったのか」という疑問がまず呈されている。この疑問を解決することが、経済はどのように始まったかについて知るきっかけとなる。かつては「市場」はあっても「経済」はなかった。経済が誕生したのは、農作物の生産によって「余剰」が生まれたのがきっかけ。余剰によって、文字や債務・通貨・国家・宗教など偉大な制度も生み出されることになる。ユーラシア大陸から発展が始まったのは、横長で気候変動が少なく、余剰を生み出すのに適していたから。

価値には、交換価値と経験価値がある。現代では経験価値が軽んじられており、交換価値が市場価格となっている。また、生産の三要素は「生産手段、土地、労働者」であり、それらが突然商品となって交換価値を持つようになった経緯も例を農奴の例を用いて書かれている。このように「市場のある社会」が「市場社会」になる中で、借金が生活の潤滑油となり、このときに利益を目的とするようになる。貸すのは銀行だがそのお金は「どこからともなく、パッと出す」らしい。また、「労働市場」と「マネーマーケット」には悪魔が存在し、単に賃金を一律に引き下げたり、金利を下げたりしても雇用'が増えるわけではない。賃金が下がれば消費者の購買力が下がり、金利が下がると景気が悪い方向に向かっていると予期する人もいるからだ。

個人的に興味が出るのは機械化と経済の関係。機械化は我々の自由時間を増やすようにも見えるが、機械を維持したりテクノロジーに追いつくためにむしろ必死に働いている状況でもある。また、機械化が進むと、多くの富が機械を所有する人たちに集中し、労働者が得られる賃金が少なくなって、物が売れなくなる可能性がある。筆者の考える解決策も多少書かれていた。

収容所のタバコの話では、金利は物価の予測に左右することや、終わりの予感が経済を崩壊させること、政治と経済の関係などを分かりやすく説明していた。地球を救うには「すべてを商品化する」と「すべてを民主化する」という相対した考えがあることや、幸福と市場社会の関係なども書かれていた。市場社会の誕生によって、宗教に変わって経済学が支配・洗脳しうるものとなってきている。そんな中では、経済を専門家にゆだねるのでなく、一人一人が経済についてある程度知って置く必要があるように思う。

「知らないと恥をかく世界の大問題10」池上彰から世界の情報を学ぶ【要点まとめ・レビュー】

知らないと恥をかく世界の大問題10 池上彰 著

知らないと恥をかく世界の大問題10 転機を迎える世界と日本 (角川新書)
 
満足度 ★★★★☆

シリーズ10作目。転機を迎えている今、世界の現状は知っておきたい。

【本書概要&感想】

大きく分けて"トランプ政権"、"EU諸国の問題"、"中東の問題"、”習近平の政治"、"AIとグローバル化"、"日本の安倍政権"について書かれていた。ニュースでなんとなく聞くような事をしっかり理解するきっかけとなり、初めて聞くような事でも分かりやすく説明してくれている。

アメリカのマイク・ペンス副大統領の演説によって、米中新冷戦が本格的になってきた。本書では、アメリカの大統領制について、なぜ米中の仲が悪くなってきたか、トランプはなぜメキシコの壁を作ろうとしたのか、米朝関係、米中貿易戦争、ファーウェイ問題など様々書かれている。基本的に、トランプは自国ファースト主義であることが分かる内容でもある。また、中国の習近平は毛沢東のような独裁型の思想を持っている。トランプには4年という任期があるが、習近平は終身で国家主席を務める可能性がある。

EU諸国の流れも良くなさそうだった。東西冷戦の終結から、徐々に移民問題も増えてきて、イギリスのEU離脱を始め、ドイツやスウェーデンも閉鎖的になってきているらしい。ドイツのメルケル首相や、フランスのマクロン大統領の支持率も過去最低となっている。

中東については、宗教的な派閥を知っておくのが大事そう。中東のほとんどはイスラム教であり「スンニ派85%、シーア派15%」である。イランは少数派のシーア派であり、イスラエルやスンニ派の大国サウジアラビアとの関係も良くない。トランプの娘婿がユダヤ人ということもあって、アメリカとイスラエルとの関係は改善傾向。中東の勢力図としては、アメリカ+イスラエル+スンニ派のアラブ諸国がイラン包囲網を築こうとしていて、対して、ロシア+トルコ+シーア派の国々がイランの味方という形。イスラム宗教の影響を受けたスリランカでも2019年にテロが起こっているなど、宗教的な対立は見過ごせない要素。アメリカはイラン核合意から離脱し、サウジアラビアも映画館の開始や女性の運転を認めるなど、転機を迎えている。

日本については、日韓関係の悪化や、最長を迎えそうな安倍政権についても書かれている。知っておきたい内容が詰まっている本だった。