シンリード@理系読書

理系大学院生による書評と読書感想文

「知らないと恥をかく世界の大問題10」池上彰から世界の情報を学ぶ【要点まとめ・レビュー】

知らないと恥をかく世界の大問題10 池上彰 著

知らないと恥をかく世界の大問題10 転機を迎える世界と日本 (角川新書)
 
満足度 ★★★★☆

シリーズ10作目。転機を迎えている今、世界の現状は知っておきたい。

【本書概要&感想】

大きく分けて"トランプ政権"、"EU諸国の問題"、"中東の問題"、”習近平の政治"、"AIとグローバル化"、"日本の安倍政権"について書かれていた。ニュースでなんとなく聞くような事をしっかり理解するきっかけとなり、初めて聞くような事でも分かりやすく説明してくれている。

アメリカのマイク・ペンス副大統領の演説によって、米中新冷戦が本格的になってきた。本書では、アメリカの大統領制について、なぜ米中の仲が悪くなってきたか、トランプはなぜメキシコの壁を作ろうとしたのか、米朝関係、米中貿易戦争、ファーウェイ問題など様々書かれている。基本的に、トランプは自国ファースト主義であることが分かる内容でもある。また、中国の習近平は毛沢東のような独裁型の思想を持っている。トランプには4年という任期があるが、習近平は終身で国家主席を務める可能性がある。

EU諸国の流れも良くなさそうだった。東西冷戦の終結から、徐々に移民問題も増えてきて、イギリスのEU離脱を始め、ドイツやスウェーデンも閉鎖的になってきているらしい。ドイツのメルケル首相や、フランスのマクロン大統領の支持率も過去最低となっている。

中東については、宗教的な派閥を知っておくのが大事そう。中東のほとんどはイスラム教であり「スンニ派85%、シーア派15%」である。イランは少数派のシーア派であり、イスラエルやスンニ派の大国サウジアラビアとの関係も良くない。トランプの娘婿がユダヤ人ということもあって、アメリカとイスラエルとの関係は改善傾向。中東の勢力図としては、アメリカ+イスラエル+スンニ派のアラブ諸国がイラン包囲網を築こうとしていて、対して、ロシア+トルコ+シーア派の国々がイランの味方という形。イスラム宗教の影響を受けたスリランカでも2019年にテロが起こっているなど、宗教的な対立は見過ごせない要素。アメリカはイラン核合意から離脱し、サウジアラビアも映画館の開始や女性の運転を認めるなど、転機を迎えている。

日本については、日韓関係の悪化や、最長を迎えそうな安倍政権についても書かれている。知っておきたい内容が詰まっている本だった。