シンリード@理系読書

理系大学院生による書評と読書感想文

「後悔しない超選択術」選択の積み重ねが未来を開く【要点まとめ・レビュー】

後悔しない超選択術 メンタリストDaiGo

後悔しない超選択術
満足度 ★★★☆☆

なんだかんだDaiGo本は4冊目。読みやすくて実用的な内容が多い。

【本書概要&感想】

どういう選択を重ねることが良いか。それは"最高の選択でなく、後悔しない選択をする"ことである。死を覚悟した患者の5つの後悔は「他人の期待に従って生きすぎた。働きすぎた。素直な感情を表現しなかった。友人にあまり連絡をとらなかった。自分をもっと幸せにすれば良かった。」であるという。まずは、正しい選択は存在しない、今ある成功は過去の自分の選択の結果ではない、選択肢が多すぎると不幸になるといった認識が大事に思う。

本書ではまず、5つの意志決定スタイルについて書かれている。人間は各自のスタイルに合った選択をしやすいという事を知り、合理的スタイルに近づける習慣をこころがける事も大事。楽をしない、無意識に流れてないか。1年後、10年後を想像するクセをつける事が有効。

また、選択の受け止め方は2つある。マキシマイザー(完璧主義)とサティスファイザー(完了主義)だ。サティスファイザーの方が満足度は高い傾向にある。マキシマイザーであったとしても「合理的に選択してその結果に満足する。」ことが後悔しない選択の根幹となる。そして一度、本当に自分で選択しているのかと疑ってみることも大事であり、まずは選択するための準備から書かれている。計画錯誤(自分の時間を過信してないか)を見直すこと、朝本を読むではなくもっと明確なプランを書き出すことなどは試してみたい内容だった。

後悔しない選択をするための習慣として①複数のサンプルを用意する、②難しい選択は午前中に済ませる、③不安への対策をすることが重要。本書では、朝の使い方、ルール化や物を増やさないこと、ジャムの法則、アイビーリーメソッドなど具体的な内容がたくさん記されていた。個人的に、③における不安と興奮の体の変化は同じであり不安を興奮と捉えられれば心理的負担が減るといった内容は面白いと思った。そして5つのバイアスがあることは抑えておきたい。感情バイアス・プロジェクションバイアス・サンクコストバイアス・正常性バイアス・メモリーバイアスだ。5つそれぞれに対しての説明と対策が書かれている。選択時の状況とそれによって起きる未来の状況を近づけるといった考えは面白く感じる。

最後に後悔しない選択をするためのトレーニングが書かれている。感情の粒度を上げることが大事で外国語を学ぶと新たな表現も生まれるので有効ということが興味い内容だった。また、自分のコアバリューを明確にして、日々そのコアバリューのためにどのような選択をしたかを認識していくことが重要に感じた。

「迷路の外には何がある 」"チーズはどこへ消えた"その後の物語【要点まとめ・レビュー】

迷路の外には何がある

『迷路の外には何がある?』 ――『チーズはどこへ消えた?』その後の物語
 
満足度 ★★★☆☆

前作「チーズはどこへ消えた?」がお手軽で面白かったので、続きである本作も気になるところです。前作を読んでない人は以下の書評を読んでみてください。

【本書概要&感想】

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前作では、小人のホーが新しいチーズを探しに進み、ヘムはずっと動けなかった。本作では、そんなヘムが新たに動き出す。

チーズだけでなくりんごだって食べられる。暗い道を避けていたけどそこには何があるというのか。迷路の中でばかり探していたけど、迷路の外ってどうなっているのか。など、本書では良い信念と悪い信念によって視界が変わる感覚が得られる。人は信念を変えることができるし、考えを変えてもあなたはあなたである。

これだけ短い物語に大事なエッセンスが詰め込まれていて非常に面白いシリーズだと思います。

 

 

 

「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?」新時代はもう来ている【要点まとめ・レビュー】

世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 山口周 著

世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」 (光文社新書)
満足度 ★★★★★

現在、グローバル企業の幹部たちがこぞってアートや哲学を学んでいるらしい。

【本書概要&感想】

これまでの企業は「分析」「論理」「理性」といったサイエンスを重視してきたが、それだけでは今日の複雑で不安定な世界のビジネスの舵取りはできない。理由は大きく3つある。1つは「サイエンス的な情報処理スキルの限界」である。このスキルによる意思決定の行き着く先は"正解のコモデティ化"。そして、現在の世界情勢はVUCA(不安定・不確実・複雑・曖昧)と表現されることもあり、論理アプローチが機能しにくくなっている。このような中では、全体を直感的に捉える感性と内省的に創出する構想力が求められる。2つ目は「世界中の市場が自己実現目標へと向かいつつあること。人の欲求が、安全欲求⇒帰属欲求⇒承認欲求⇒自己実現欲求へと変わっており、自己実現欲求を刺激するには美意識が必要。3つ目は「システムの変化にルールの制定が追いつかない状況が発生していること」。法律の整備が追いつかず事後的にルールが制定される例も多く、ルールや法律だけを拠り所にするのではなく、内在的に「真・善・美」を判断するための美意識が求められる。

「アート」と「サイエンス」のバランスが大事でどちらも高い次元が必要だが、現状では説明能力の差もあってサイエンスに偏っている。よって、美意識を鍛えることが求められ、アートや哲学、文学・詩などが美意識を鍛えるきっかけになるかもしれない。

「言ってはいけない」読まないほうが良い?残酷すぎる真実【要点まとめ・レビュー】

言ってはいけない 残酷すぎる真実 橘玲 著

言ってはいけない 残酷すぎる真実 (新潮新書)
 
満足度 ★★☆☆☆

橘玲の本。人を釣るためにつけたようなタイトル。とても売れている本なので気になるところです。

【本書内容&感想】

本書では、"遺伝や人間の本能的な部分が行動や社会を決定している部分がある"ということを言っている。知能の7~8割は遺伝で、身長の遺伝率は66%、体重は74%、うつ病は80%、サイコパスは81%等。他にも、経済格差、人種差別や女性差別、容姿と収入の関係も、人間の進化論的に仕方ないといった事が書かれていた。ここで、遺伝率とは例えば66%の確率で身長の高い人が生まれるという意味ではなく、66%は遺伝で34%は環境で説明できるという意味らしい。本書では、根拠としての実験や人間の発展の歴史などが書かれていた。こういった事実を考える上で重要なのは、相関関係があるから因果関係があるわけではないという認識は持っておきたい。

また、"わたし"は遺伝と環境(共有環境、非共有環境)で決まるという。共有環境は、家族内など互いを近づける環境で、非共有環境は家族以外の友達や学校など互いを遠ざけるような環境。共有環境よりも非共有環境の影響の方が大きいことは多い。この理由としての集団社会化論には納得できる部分がある。子供は親よりも友達の世界のルールを優先するため子供は親の言うことを聞かない。そして、無意識のうちに集団の中で自分の持つ遺伝特性を最大に活かそうとすることで、集団の違いによって自分が変わってくる。共有環境が強く影響を及ぼすのは宗教や言語など。そんな中、親のできることは子供の才能の芽を摘まないような環境を与えること。

基本的に言い回しが長い分、何を言いたいのかが汲み取りづらかった。残酷な事実を突きつけた上で、"じゃあどうすべきなのか"という部分にはあまり触れらていないが、それは自分で見出すしかないのかもしれない。

 

 

「5Gビジネス」この通信技術で世界は一変する【要点まとめ・レビュー】

5Gビジネス 亀井卓也 著

5Gビジネス (日経文庫)
満足度 ★★★☆☆
5Gは世界のトレンドの1つであると思うので気になるところです。すでにアメリカや韓国で一部の提供が始まっており、日本や中国では 5Gが2020年に始まる。

【本書概要&感想】

5Gによって、高速大容量通信、超信頼・低遅延通信、多数同時接続が可能になる。10倍の速さ・1/10の遅延・100倍の接続数が実現する。これらの簡単な仕組みから始まり、今後どのように世界が変わっていくか、何をすべきかについて書かれている。

5Gの仕組み的には、エッジコンピューティング、U/C分離、ネット枠スライシングなどの技術が使用されているらしい。仕組みよりも気になるのは5Gによって"どう変わるか"の部分。一番大きいのは自動運転。トヨタではカメラをミラーに付けてディスプレイで後方確認する技術があったり、フランスのメーカーでは車を透明化して前方確認する技術があったりする。また、運転スキルを解析することで保険会社なども高付加価値のサービスを提供できる。自動運転にはレベル0-5まであるが、完全自動化のレベル5が実装されるのは2030年代だということで意外に早い。他にも、遠隔医療・診断や、マルチアングルでの観賞、VR・AR、クラウドゲーミングなど、変わっていくものは山程ある。韓国では折り畳みのスマホも誕生して、スマホの次はウェアラブルデバイスも注目である。さらには、生活の一部に画面が与えられ、ユビキタスという「いつでも、どこでも存在する」といった状況も生まれるかもしれない。

電力会社のスマートメータ導入や立体セキュリティ、インダストリー4.0、ドローンによる配送など様々なビジネスが誕生する。トヨタは「自動車をつくる会社」から「モビリティカンパニー」に変化を遂げ、現在地から目的地まで移動する事がビジネスとなっている。また覚えておきたいのは、今後はB2XというモデルからB2B2Xというモデル変わっていくということ。通信事業者がサポートに回り、通信を扱う側の企業が主役になってくる。XaaSという資産を売るのではなくサービスとして利用してもらう事も重要になってくるかもしれない。すでに6Gに向けた開発も始まっているといことなのでテクノロジーの変化においてかれないようにしたい。