シンリード@理系読書

理系大学院生による書評と読書感想文

「学力の経済学」どうやったら子供は頭が良くなるの?稼げる子に育つの?【要点まとめ・レビュー】

学力の経済学 中室牧子 著

「学力」の経済学

満足度 ★★★★☆

は,テレビで林修先生が紹介していた本です!「教える」のスペシャリストが絶賛する本は気になります。

【本書内容および感想】

多くの本やメディアでは個人の経験的な考えや達成プロセスが多く述べられている中、本書では統計学的に科学的根拠を持った見方で述べている。印象的な点を記載していきます。

結果よりもインプットに対してご褒美を与えるのが良い

テストで100点取ったらよりも、このページまで進めたら、の方がやる事が明確になる。

・ご褒美に与えるものとしては、お金でも良いがトロフィーのようなものでも良い。

お金は金融教育的に有効。ただ,ご褒美には献血や募金などと似た外的・内的インセンティブの問題もある。(募金したら〇〇をプレゼントのような事は、自ら進んで募金をしていた人の意欲を削いでしまうことがある)。能力でなく努力を褒めるのが良い。

・ゲームも1時間程度なら0時間とあまり変わらない。

・勉強をしなさいというより、勉強に付き合ったり見守ったりする手間のかかることをした方が効果が高い。

・幼児教育への投資が最も収益率が高い。

幼児教育は非認知能力に大きく影響。学力よりも、非認知能力が将来の成功や収入と関連。自制心とやり抜く力がつく。少人数学級は費用対効果が低い。

収益率と勉強の関係を知らされる事が最も効果が大きい

高卒と大卒で1億円の差があることを知っているか知っていないかで学力に差が生まれる。「今勉強しておくのがあなたのため」はOK。

・日本の言う平等は、遺伝や家庭の資源を考慮できておらず、平等とは言えない。

・人間は一旦得たものを失う方が嫌。

本書では,学力の高い友達の影響や男と女の教師どっちが良いかなど興味深い内容が多い。日本は費用対効果が低いところばかりに投資している状況であり,今後はもっと教育にエビデンスを持って投資していくべきと論じている。