シンリード@理系読書

理系大学院生による書評と読書感想文

「最高の戦略教科書 孫子」賢者は歴史から学ぶ【要点まとめ・レビュー】

 最高の戦略教科書 孫子 守屋淳 著

最高の戦略教科書 孫子
満足度 ★★★☆☆

ビル・ゲイツや孫正義などビジネスのトップを走る人達の愛読本である「孫子」。本書では、難しそうな孫子の内容を分かりやすく、読み解いている。

【感想】

孫子とは、紀元前における中国の戦乱時代に活躍していた孫武という将軍が書いたとされている書物である。孫子の戦略は、現代の生活やビジネスにおいても広く活用されている。孫子は戦乱時に書かれたものであり「やり直しの効かない一発勝負で、ライバルも多数存在する」ということが前提となっている。古代と現代では条件が違う部分も多いが、うまく抽象化して前提を合わせることが大切になるように思う。

「戦わずして勝つ」。まずはこれを中心に考えている。負けてはダメで、勝ったとしても自分が擦り減ってはいけない。自分が消耗していたら漁夫の利をさらわれることになるからだ。そのために知っておきたいことは「彼を知り、己を知れば、百戦して殆うからず」という有名な言葉。彼≠敵であり第三者の動きまで目配りする必要がある。また、彼や己を知る上で重要な要素は「道」「天」「地」「将」「法」という5事と呼ばれるものである。

孫子での戦い方の基本は不敗と短期決戦。勝と負の間には不敗があり、不敗は努力次第で維持・構築できる。不敗を守りながら、敵・環境がチャンスを見せたら勝ちを目指すのだ。そして、戦いが長引けば消耗して漁夫の利を取られかねないので、短期で勝てる相手とだけ戦う。しかし、戦いには一方的に始められるが一方的に終わらせられないという本質がある。恋愛はその逆らしい。また、戦いに働く力は4つ。1. 情報・認識ベースの力、2. 環境・肉体ベースの力、3. 感情・精神ベースの力、4. 物量・管理ベースの力。情報格差が有る場合には各個撃破や急所をつくこと、無い場合でも「?」を抱かせ主導権を握ることや無形で後手の先に立つこと、危機感が勢いや組織の統制を生み出すことなど様々書かれていた。

最後には、孫子の教えをどう活用するかについて書かれている。いかに負けないをコントロールするかや、「何で勝つか、どこで勝つか、いつ勝つか」などを考えていく必要があるように思う。