シンリード@理系読書

理系大学院生による書評と読書感想文

「SHOE DOG (シュードッグ)」 ナイキ創設者フィル・ナイトの壮大な物語【要点まとめ・レビュー】

SHOE DOG (シュードッグ) フィル・ナイト 著

SHOE DOG(シュードッグ)
満足度 ★★★★☆ 今やスポーツメーカーの中で最も大きな企業NIKE。アディダスやプーマなど数多くのスポーツメーカーの中でナイキが抜きん出る理由とは。

【要約】

SHOE DOG(シュードッグ)とは「靴の製造や販売、購入、デザインなどに身を捧げる人間のこと」を指している。ナイキを生み出したフィル・ナイトもシュードッグの一人。学生時代は陸上に励み、卒業して24歳の時に旅に出る。日本を訪れた時に、"オニツカタイガー(現:アシックス)"の靴の品質を気に入り、自分は会社を持っているという嘘をついてまで、その場でアメリカでの販売権を獲得する。アメリカに戻ってすぐ"ブルーリボン"という会社を設立。資金繰りやオニツカとの裁判などで波乱の中、心強い見方だったのが"日商岩井(現:双日)"という日本の企業。やがて、オニツカと縁を切り、"ナイキ"という会社を設立する。資金に悩まされながらも、数々の仲間出会い、ぶつかり合い、1980年に株式上場を果たす。

【感想】

ナイキの最初は、はったりから生まれたブルーリボンという輸入販売会社であるというのは知らなかった。当時はスニーカーはアスリートだけが履く靴だったのに、皆が日常的に履くようになると信じていたというのも面白い。オニツカや日商など日本企業との繋がりも多いのは驚き。当時のアメリカでの日本観、フィルナイトの他国を知ろうとする姿勢なども描かれていた。

やっと売上が上がったように見えても、希望通りに商品が送られてこず、競合企業から訴えられたり、常に現金が無い状態で銀行からも嫌われ、いつ破産してもおかしくない状況が続いていた。そんな波乱の状況を信念を持って走り続けたフィル・ナイト。気づけば、スポーツ界のマイケル・ジョーダンやタイガー・ウッズ、ビジネス界のビル・ゲイツやウォーレン・バフェット、など様々な人間が彼の周りにいる。彼のストーリーを知れば、商品の品質に関わらずナイキが好きになるのは納得である。ビジネス書のコーナーによく置いてあるが、小説のようなとにかく面白い物語です。