シンリード@理系読書

理系大学院生による書評と読書感想文

「嫌われる勇気」承認欲求は不自由! 【要点まとめ・レビュー】

嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え 古賀史健 著

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

満足度 ★★★★

おそらくほとんど人は嫌われるのは嫌です。しかし,本書のタイトルは「嫌われる勇気」。そんな超大ヒット本の重要箇所をまとめました。

【要点】

印象的な内容をなんとか3つに厳選したので紹介します。

①「目的論」

 「目的論」は,人々は原因があって今の行動をしているのではなく,目的があって行動をしているという事。変われないのは,変わらないという決心をしているからであり,”このままの方が楽”に流されているのだ。これまでの人生に何があったとしても今後の人生に影響はない。自分ができないと思っている事は,ただの言い訳であって本当はできないままの方が楽と思っているいう自分が存在する。

②「課題の分離」

 「課題の分離」とは,変えられる課題と変えられない課題を分離することだ。「馬を水辺まで連れていけるが,水を飲ますことはできない」。自分が変えることができるのは自分だけ,他者を変えることはできない。変えられないものを気にしながら生きることは自由でない。相手が自分を好きになるのか嫌いになるのかも他者の課題である。他者から嫌われることを恐れていては,自分の生き方ができず自由になれない。

③「共同体感覚」

  「共同体感覚」とは,他者を仲間とみなし,そこに自分の居場所があると感じられることだ。人は「共同体にとって有益だ」と思えた時に自らの価値を実感できる。承認欲求によって感じられる価値は不自由である。自己への執着を他者への関心に切り変えることで共同体感覚を持てるようになり,そのために必要な事が「自己受容」「他者信頼」「他者貢献」である。

【感想&今後の行動】

  本書は,哲人と青年の二人の会話による物語形式で進んでいき、非常に読みやすい本です。生きる上での不自由から脱するような考え方が多く登場するので読んでよかった一冊です。今後は、自分の課題を明確に捉え、他者の課題に労力を奪われずに生きるのが楽しく思う。不安に陥ったときは、共同体感覚や目的論などの考えを思い出すことが有効に感じる。

「人を動かす」論破は無意味!【要点まとめ・レビュー】

「人を動かす」 D・カーネギー   

人を動かす 文庫版

満足度 ★★★☆☆

かなり有名なビジネス書。一体なぜこの本がヒットしているのか確認していきます。

【要点】

 「人を動かす」ためには何が必要か。それは"相手の心に強い欲求を起こさせること"。相手に強い欲求を起こさせるためには,相手の立場になって欲しているものを理解する事,相手に重要感を与えることが重要である。 そのためには自分の欲を言っても人は動かない。 つまり、命令や言い負かしたところで人は動かない。

【感想&今後の行動】

 論破は気持ちが良いことであるため、多くの人がやりがちな部分であると思う。正論を突きつけるだけでなく、相手や第三者の視点を持って、常に人が重要感を覚える状況を観察していくことが大切に思う。

  本書では、人が動かされた事例が数多く登場する。正直、長々しかったり大袈裟に感じる部分もあったりするので、本が苦手な人は挫折しやすいかも。

 

 

「渋谷ではたらく社長の告白」 AbemaTVも手掛けるサイバーエージェント藤田晋の苦悩【要点まとめ・レビュー】

渋谷ではたらく社長の告白 藤田晋 著

渋谷ではたらく社長の告白〈新装版〉 (幻冬舎文庫)
 
満足度 ★★★★☆
 
今やAbemaTVなどでも有名なサイバーエージェント社長の藤田晋さん。本書では、藤田晋さんが起業するまで、そしてその後の苦悩のストーリーも描かれている。

【本書概要&感想】

藤田晋さんは、東大生のようにめちゃくちゃ頭が良いというわけでは無いということが共感値を上げているように思う。その代わりに彼は"21世紀を代表する会社をつくる"といった強い信念は誰よりもあり、大学時代にも雀荘やバーなど変わった経験をして、そして営業の会社のバイトを始めるなど行動力も高い方だったように思う。営業のバイトで圧倒的な働きで結果を残し、渡辺専務という恩人に出会う。しかし、ライバル会社への入社や、専務を社長として会社を作ろうといって最終的には自分が社長になると決め専務は去ってしまったことなど、苦しい裏切りをすることになってしまう。

インターネット業界がドッグイヤーと呼ばれる中で起業し、営業に強いインターネット企業として活動した。恋人とも別れ、一日も休まず働く仕事の日々が続く。波に乗ったまま26歳のときに最年少社長として上場する。しかし、ネットバブルがはじけてサイバーエージェントの時価総額も下落する一方。辞めていく社員も大勢いた。そして会社を諦める瞬間もあったという。そんな中残った社員との結束は強く、時間はかかったものの時価総額も回復していく。

オン・ザ・エッジの堀江貴文、インテリジェンスの宇野社長、GMOの熊谷社長、楽天の三木谷社長、村上ファンドの村上世彰社長など名だたるメンバーとの繋がりや信頼関係が描かれているのが面白い。文章も難しすぎず、短めなので読みやすかった。

 

 

「武器になる哲学」なぜ哲学が必要なのか!【要点まとめ・レビュー】

武器になる哲学 山口周 著

武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50
満足度 ★★★★☆

山口周さんの前著「世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか」において美意識を育む1つの手段として哲学を学ぶことがあった。本書ではその哲学について論じている。

【本書概要&感想】

哲学の問いの種類は「what」と「how」の2つ。whatの問に向き合った哲学者は多いがその解答はつまらないものが多い。だから哲学の初学者は哲学にあまり意味を感じず挫折してしまう。そこで大事なのが、学びの種類には「プロセス」と「アウトプット」があり、「プロセス」からの学びが重要であるということ。

全部で50のキーコンセプトを述べている。例を1つ挙げると「自由からの逃走」。産業革命など、近代から現代への進化は自由・解放といったベクトルの上にあるが、私達は自由の与える重荷に対する訓練はされてないということ。自由は孤独や責任を生み出すこともあり、そのような中でどう生きるかというオプションが重要になってくるという。

これまでに哲学っぽい本は何個か読んだがどれも読みにくいものばかりで面白くなかった。しかし、とっつきづらい哲学でも本書によって割と見方が変わった。とりあえず山口周さんの記述は難しいようで分かりやすい。哲学からこれほどの学びを生み出すことができるのは面白く感じる。

「誰の味方でもありません」古市憲寿の考えを覗く!【要点まとめ・レビュー】

誰の味方でもありません 古市憲寿 著

誰の味方でもありません (新潮新書)
満足度 ★★☆☆☆

古市さんは好きなので少し気になった本。

【本書概要&感想】

過去のエッセイなどがざっくり並べられてある感じ。基本的に古市くんの雑談のようなエッセイから、彼らしい考え方が見受けられた。現在の政情を彼なりの視点で語っていたり、嫉妬・炎上などについても書かれたりしていた。無機質であまり興味を示すことは無いような印象だったが、むしろ興味を持つものは持っている。そしてなんだかんだ色んな体験や行動をして、幅広い分野に対して意見を持っている人なんだなと思った。